1
EX-ARM エクスアーム
2021年 / SFバトル
2021年以降のダメアニメと言われたら真っ先に名前が挙がる作品。フル3DCGで作られたキャラクターの動きが、格闘シーンになるとことごとく不自然になる。殴り合っているはずなのに、なぜか体がすり抜けているように見える瞬間が何度もあった。表情もほぼ動かず、感情移入する前に画面のぎこちなさが気になってしまう。SNSでは放送直後から「事件」として扱われ、切り抜き動画が独り歩きしていたが、実際に通しで見ると、単発の作画崩壊ではなく全編を通してこの調子だったことがよくわかる。
正直な感想:ストーリー自体は近未来のテクノロジー×アンドロイドという、決してつまらない題材ではなかった。だからこそ、技術面の粗さが物語の説得力を根こそぎ奪ってしまったのが惜しい。「見た目のクオリティは中身をここまで殺せる」という反面教師として印象に残った一本。
2
俺だけ入れる隠しダンジョン
2021年 / なろう系ファンタジー
主人公の強さやヒロインの回復条件が、ほぼ性的な行為に直結しているという設定が話題になった作品。なろう系のご都合主義には慣れているつもりだったが、ここまで欲望に忠実な理由付けをされると、さすがに笑うしかなかった。作画自体は決して悪くなく、むしろ丁寧な部類に入る。だからこそ「この作画力をもっと別の脚本に使ってほしかった」という気持ちが強く残る。ストーリーラインを追う気力が、話数を重ねるごとに失われていった。
正直な感想:ネタとして消費するには十分な強度があるが、真剣に物語を追いたい人にはおすすめしにくい。「なろう系のテンプレを煮詰めるとどうなるか」のサンプルとして見るなら、ある意味で価値はある。
3
ポプテピピック TVアニメーション作品第二シリーズ
2022年 / シュールギャグ
公式が自ら「キング・オブ・クソアニメ」を名乗っているので、これを取り上げるのはある意味フェアではないかもしれない。ただ、1期の衝撃を知っている身としては、2期は同じ手法の焼き直しに感じられる部分が多かった。声優ガチャや過剰なパロディも、初見時のインパクトがある前提でこそ機能する仕掛けであり、2周目となると「またこのノリか」という感覚の方が先に立ってしまう。ついていける視聴者とついていけない視聴者を、序盤で完全に選別してくる構成でもある。
正直な感想:作品自体が「クソアニメ」を自称し、そこに全力で振り切っているという意味では潔い。ただ笑えるかどうかは本当に人を選ぶ。1期を未見なら、まずそちらから触れることをすすめる。
4
異世界はスマートフォンとともに。2
2023年 / なろう系ハーレムファンタジー
通称「スマホ太郎」の2期。1期放送から6年が経っても、主人公が窮地に陥る場面がほとんどなく、都合よく物事が解決していくテンポは健在だった。ヒロインが増える一方で、それぞれの関係性やドラマに深みが出るというよりは、キャラクターが並んでいるだけという印象の方が強く残る。悪い意味での「安定感」がある作品で、1話を見れば残り話数の展開もほぼ予想がついてしまう。
正直な感想:批判的に見ればいくらでも粗は出せるが、逆に言えば「何も考えずに流し見できる」という需要には応えている。刺激を求めて見ると肩透かしを食らうが、作業用BGMのような感覚で見るなら苦にならないタイプの作品。
5
異世界ワンターンキル姉さん
2023年 / なろう系コメディ
規格外に強いブラコンの姉が、あらゆる問題を一撃で解決していくという、タイトル通りすぎる構成の作品。緊張感を持たせるための障害が用意されても、姉が出てきた瞬間にすべて片付いてしまうため、物語としての起伏はほぼ生まれない。ギャグとして割り切って見れば成立する部分もあるが、話数を重ねても展開のパターンがほとんど変わらず、中盤以降は既視感の方が強くなっていった。
正直な感想:「様式美」と言えば聞こえはいいが、裏を返せば「先が読めすぎる」ということでもある。一部のなろう系愛好家には刺さる作りだと思うが、万人向けとは言い難い。

本当に言いたいのはここから:2024〜2025年の「虚無枠」問題

ここまで挙げた5作品は、正直まだわかりやすい部類だ。作画が崩壊している、設定がぶっ飛んでいる、公式が自虐しているなど、突っ込みどころがはっきりしていて、ある意味では愛される余地がある。本当に厄介なのは、そこまで突き抜けもせず、ただ「どこかで見たような設定」を右から左に流すだけの、量産型のなろう系アニメが2024年〜2025年にかけて明らかに増えたことだ。

ここが最大の問題:チート能力を手にした主人公、ハーレム、テンプレ通りの追放・見返し展開。個々の要素はどれも悪くないのに、それをただ組み合わせただけの作品が毎クール大量に供給され、1話の時点で「あ、これ知ってる流れだ」と視聴者が離脱してしまう。管理人自身、序盤で切ってしまった作品が2024〜2025年だけで両手では数え切れない。

EX-ARMのような作品は、粗が目立つ分だけ逆に語りやすく、ネタとして消費もされる。一方でこの「虚無枠」は、話題にすらならずに静かに埋もれていく。個別の作品を名指しで酷評するというより、ジャンル全体が供給過多に陥り、1本1本の熱量や工夫が薄まっているという感覚の方が近い。似た設定のアニメがあまりに多く並ぶと、良し悪し以前に「またこれか」という反応しか出てこなくなる。これは個々の制作陣の責任というより、業界構造の問題だとも思っている。

このサイトは基本的に「見逃してほしくない作品」を紹介する場所として運営しているが、その裏側には「これだけ似た作品が並ぶ中から、埋もれずに済んだ作品」という文脈が常にある。今回この虚無枠についてあえて触れたのは、良い作品を紹介する記事の説得力は、こういう厳しい現実も直視した上でこそ増すと考えたからだ。この現象についてはいずれ、具体的な作品を挙げながら別記事でさらに掘り下げたいと思っている。

まとめ

正直、この記事を書くのは今まで避けてきました。「悪く言う」ことでサイトの雰囲気が変わってしまうのが怖かったのもありますし、作品には必ず誰かの努力が詰まっているという意識もあります。ただ、良いところばかり並べるサイトより、たまにはこういう本音も見せた方が、むしろ普段のおすすめ記事の信頼度も上がるのではないかと考え直しました。

ここで挙げた5作品も、見て後悔したわけではありません。「しんどかったけど見てよかった」と言えるのも、アニメの面白いところだと思っています。そして何より伝えたかったのは、派手にダメな作品よりも、静かに埋もれていく量産型の作品の方が、実は今のアニメ業界にとって深刻な問題だということです。今後もこういう本音企画は、無理のない範囲で続けていく予定です。